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第164回文楽公演第一部 平成20年9月 国立劇場 [文楽]

文楽9月公演の第一部に行ってきました。
第一部は清之助さんの豊松清十郎襲名披露公演ということもあり、豪華な顔ぶれでした。
連日満員との事で東京は相変わらずの人気のようです。

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ロビーにはお祝いの飾り付けが。記念写真を取っている人が多かったです。

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開演前には新清十郎さんがご贔屓に挨拶したり、サインをしたりと間近で見ることができました。とてもきさくな方のようです。

口上はとても華やかでした。住大夫さん、寛治さんと各部の代表に続いて、なんと師匠の簑助さんがご挨拶されてびっくり。倒れられて以来、舞台上での掛け声以外は全くしゃべられていなかった簑助さん、「豊松清十郎をよろしくお願いいたします」の一言だけでしたが、おそらく相当練習されたのでしょう。とても力強い挨拶で、見ていて胸が熱くなりました。勘十郎さんのときは、玉男さんが挨拶しただけだったそうですので、その後リハビリを重ねられたんでしょうね。

襲名披露の演目は「本朝廿四孝」の十種香と狐火。清十郎さんが八重垣姫、簑助さんが勝頼、文雀さんが濡衣、勘十郎さんが謙信と豪華な顔ぶれです。基本的に八重垣姫が勝頼に積極的にアプローチするという話の筋としては非常に単純な話なのですが、娘役の人形としての見せ場が満載の演目です。
十種香のクドキ、それから狐火の派手な立ち回り、共に清十郎さんが熱演されていました。狐火では勘十郎さんが左を遣われて、がっちりとフォローされていらっしゃいました。
語りの方では、嶋大夫さんが八重垣姫をとてもかわいらしく語られていたと思います。

また前半の「近頃河原の達引」では、簑助さんのおしゅんがやはり素晴らしかったです。すっと俯いているだけでもものすごい存在感で、一挙手一投足に目が離せませんでした。また紋寿さんの与次郎、チャリ役がこれまた良かったです。紋寿さんのこういう役は初めて観たのですが、普段よりもわざとらしいくらい大きく大げさに遣われていて、面白さがはっきりと伝わってきました。
語りの方は堀川猿廻しの段が住大夫、綱大夫と豪華な語りでこれまた楽しめました。

なかなか文楽で大きい名跡の襲名披露というのはなく初めての経験でしたが、歌舞伎に負けず華やかな雰囲気でしたし、非常に貴重な経験ができました。燕三さんの時は住大夫さんが床で挨拶した程度でしたし、全ての襲名でこのようにするのはなかなか難しいのでしょうが、時々はこういった機会があるといいのにな、と思ってしまいます。


帰ってから改めて簑助さんの「狐火」のビデオで鑑賞。あらためてこの演目の出し物としての完成度を感じました。もちろん簑助さんの八重垣姫も素晴らしく、改めて3年前の大阪公演、チケットを取っていながら仕事で行けなかったことが悔やまれます。もうおそらくは観ることができないんでしょうね、、、

また、口上の文字久さんを見てふとこちらのDVDを見たくなり、続けて鑑賞。





玉男さん、住大夫さんの2人の人間国宝を取り上げたNHKのドキュメントです。
印象的なのは、文字久大夫さんが稽古で住大夫さんにめちゃくちゃ怒られている場面、それから越路大夫さんが住大夫さんに稽古をつけている場面です。特に後者、この時越路大夫さんは88歳、引退後12年経ったとは思えない語り。引退時に「(修行の時間が足らず)もう一生欲しかった」とおっしゃったという厳しさ、一途さが強く伝わってきます。

7月の大阪公演以来でしたが、やはり文楽もいいなぁと改めて感じました。10月の地方公演はパスしますが、11月の大阪はどうしようかなと目下思案中です。


(おまけ)
今日の観劇弁当は、弁松の並六を買いました。
箱の木の香りがとても好きです。

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第163回文楽公演 平成20年5月 国立劇場 第二部 [文楽]

昨日ですが、5月文楽公演の第2部に行ってきました。

「心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん)」は、初めて。とても楽しみにしていました。
もちろん千代は簑助さん。暗く沈んだ感じ、姑から呼び戻されて戻ってきた時の嬉しそうな表情、、、、
本当に素晴らしかったです!
勘十郎さんのほうも大分馴染んできたようでな気がします。
文雀さんも観ることができましたし、何よりも住大夫、嶋大夫ご両人続いての切場。
現在最も豪華な配役ではないでしょうか。

もう一つの「狐と笛吹き」も言葉遣いは現代的で不思議な感じがしながらも、演出も凝っており楽しむことが出来ました。

今月は歌舞伎にも行くので、文楽はこの1回きりです。
9月は清之助さんの清十郎襲名披露で十種香・狐火が観れるとのこと。今から楽しみです。


ところで、今回このような貼紙が。

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新大夫さんが退座、、、知りませんでした。
3月末で退座ということで4月の大阪から出ていなかったとのこと。
結局むつみ会の告訴取り下げで一連の騒動は終了ということのようですが、結局我々ファンに対しては正式に協会等から何も説明がなく終わってしまいました、、、少し寂しいですね。


(おまけ)

今回は、銀座三越の地下で地雷也の天むすのお弁当を買ってみました。

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5個もあるとさすがにお腹が一杯になりますね。他のお弁当に比べるとリーズナブルですし、美味しいので観劇にはぴったりだと思います。



この土日、伝統芸能関係のビデオを良く観ました。
観たものを備忘に書いておきます。

歌舞伎「身代り座禅」:昨年の公演から。左團次の山の神が抱腹絶倒の面白さ。本当に上手いです。團十郎の萎れぶりも素晴らしい。
映画「虎の尾を踏む男たち」:黒澤監督の能の「安宅」、歌舞伎の「勧進帳」をもとに撮った映画とのこと。BSでやっているのを観ました。エノケンが強力を面白おかしく演じているのと、意外な切り口で撮られているのが面白い。
歌舞伎「勧進帳」:映画を観てふと見たくなったもの。白鸚の最後の弁慶。二世松緑の富樫が素晴らしい。
能「安宅」:梅若六郎が弁慶。初めて見たが、山伏が多く迫力が非常にあるのと、能ならではの荘厳さが良い。この演目であれば能でも観にいってみたい。

能、狂言はほとんど未知の世界なのですが、有名な演目から是非観にいってみたいです。

十九大夫さん [文楽]

昨日の記事を書き終えてホテルの部屋でNHKニュースを見ていたら、衝撃的なニュースが。

十九大夫さんが、技芸員さんの互助組織の積立金から約5000万円を私的に流用をしていたとのこと。しかも昨日、自分たちが観た公演の直後に文楽劇場で住大夫さん、文雀さんなどと共に記者会見をしたとのこと。今日(25日)付で文楽協会から契約を解除され、廃業になるそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071124-00000936-san-soci

ショックが大きく、まだ考えが整理できていませんが、悲しい気持ちで一杯、というのが偽らざる気持ちです。

切場語りという最高位の太夫さんというのは、生き方そのものが真摯で誰からも尊敬されるべき品位・品格を持っているべき人、と考えます。かつての四世津大夫さんや越路大夫さんのように。そうでなければ、人の情を語ることは出来ないでしょう。

現役で最も好きな太夫さんでしたし、三段目語りとしては現役の太夫さんでは最高(実際、演目もそういうものが多かった)の太夫さんだと今でも思っています。もう二度と聴くことが出来ないというのは寂しい限りですが、その最後の舞台に自分が客席にいた、というのは複雑な心境です。(会見等の直前で舞台どころではなかったでしょう、、、)

今は、文楽ファンのためにも、十九大夫さんの口から真実を明らかにして欲しいですし、この事件が文楽のファン離れを加速することがないよう、心から願うばかりです。

まずは明日の千秋楽が無事に終わりますように。特に千歳大夫さんは代役ということで盛綱陣屋を一人で語り切るとのこと。大変だと思いますが頑張って欲しいと思います。

 


第160回文楽公演 平成19年9月 国立劇場 [文楽]

少し前になりますが、9月文楽公演に行ってきました。

今回は第一部が「夏祭浪花鑑」、第二部が玉男さんの追善公演で「菅原伝授手習鑑」の「道明寺」でした。特に第二部、2回観に行ったのですが、本当に素晴らしい舞台でした。

床ではなんといっても十九大夫さん、富助さんでしょう。「心の嘆きを隠し歌~」から別れの歌を詠む箇所、「暁もがな」の悲痛な語りがとても哀しく、涙を誘われます。道明寺といえば、越路大夫さんの名演が自分の中では強く印象に残っています。越路大夫さんははっきりと明晰な表現で細やかに語られているのに対し、今回の十九大夫さんは持ち前の太い声を生かされた重厚な語りで別れの場面の悲しみがぐっと胸に迫ってきます。

人形では奴という滅多に見られない配役で登場した簑助さん。敵討ちの愁嘆場を完全に喰ってしまってました。存在感が違いすぎます。そんな役でも真剣勝負で本気で遣われている簑助さん、このようなチャリ場でもその思いが伝わってきました。

演目が発表された時は地味な演目かな、、、と思っていたのですが、自分が浅はかでした、、、またいつか、今度は通し狂言(特に桜丸切腹)で観て見たいです。

今回は玉男さんの追善公演ということで、玉男さんの遺品や写真が展示されていました。

 「冥土の飛脚」の忠兵衛、羽織落の場面でしょうか、、、

 「曽根崎心中」の徳兵衛とお初、天神森の場面

先日の「私の履歴書」でも簑助さんが書かれていましたが、この配役での「曽根崎心中」、一度観てみたかったです、、、11月に大阪の追善公演は玉女さん、勘十郎さんの師弟同士の配役となったようです。

 


第159回文楽公演 第二部 平成19年5月 国立劇場 [文楽]

昨日、先週に引き続き、文楽5月公演の第二部に行ってきました。今回も満員御礼、相変わらずの人気です。

人気といえば、非常に席の取りづらい状態が続いています。今日の座席は1列27番という一番右前の席。1列目というのはこれまでに何度かありますが、一番端というのは初めて。右側は非常に見づらいです。「尼崎」の久吉などはほとんど見えませんでしたし、「夕顔棚」のさつきも文雀さんはほとんど見えませんでした。席に座って正面を見るとこんな状態です。

大夫・三味線は後ろを向かないと見えません。この席であれば、少し後ろでも全体が見える席の方が良いと思います。それにしてもこの人気ぶり、しばらく続きそうで引き続き席を押さえるのは大変そうですね。

今回のメインは十段目、「夕顔棚の段」「尼崎の段」です。「太十(たいじゅう、太功記十段目の略)」といわれ、歌舞伎でも頻繁に演じられる演目です。

大まかなあらすじとしては、光秀の謀反を許さぬ母さつきが久吉の身代わりとなり、自分の命をもって謀反の業を光秀に訴えます。一方で息子十次郎の死を覚悟した初陣の願い、それを知った上での許婚との悲しい祝言、その後出陣するも、真柴方に壊滅され瀕死で戻ってくるもまもなく死んでしまう、、、、民のためにと貫いてきた自分の信念を曲げることのなかった光秀もここにきて堪えきれず男泣きに泣き上げます(大落し)。そこに現れた久吉。望みは薄いながらも最後に山崎の天王山で決戦することを約し、段切れを迎えます。

大夫はやはり十九大夫さん、光秀のスケールの大きさ、家族それぞれの感情を見事に表現されていらっしゃいました。クライマックスも最後まで力強く最後まで盛り上げてらっしゃいました。特に光秀の出のところ、大落しのところ、最後のくだりのところが良かったと思います。

人形は、母さつきの文雀さん、操の簑助さんはもちろんですが、なんといっても勘十郎さんの光秀が良かったです。見得を切るところ、団七走り、石投げ、木登りなど通常の演目以上に見せ場が多いのですが、とても大きく力強く遣っていらっしゃいました。

この演目、もう4年前くらいになるでしょうか、勘十郎さんの襲名披露狂言の演目だったんですよね。光秀が勘十郎さん、十次郎が玉男さん、初菊が簑助さん、操が文雀さん、さつきが紋寿さん、、、自分が文楽を知る少し前だったのですが、もっと早く知っていれば、、、と今でも悔しいです。でも今回は通し狂言ということもあって、いい役、いい場面から大夫も人形遣いも決まりますので、とても豪華なメンバーで楽しむことが出来たと思います。

次回、東京は9月、玉男さんの一周忌追悼公演ということです。もう1年経つんですね。ポスターにも玉男さんが。

菅丞相が玉男さんの当たり役だったことから「菅原伝授手習鑑」の「道明寺」が、また「夏祭浪花鑑」、夏らしいいい演目だと思います。若干時期はずれますが、東京だとこのタイミングしか出来ないですよね(笑)。まだ配役は発表になっていませんが、菅丞相は多分簑助さん?覚寿は文雀さんとして苅屋姫は紋寿さん??一方で、団七は勘十郎さんなのかな、、、と配役を想像するだけで今からとても楽しみです。一方で7~8月の大阪は若干魅力的な演目が少ないこともあって行くかどうか悩んでいます、、、

 


第159回文楽公演 第一部 平成19年5月 国立劇場 [文楽]

昨日、文楽5月公演の第一部に行って来ました。昨日は、雨が降ったりやんだりといやな天気でした、、、

 またもや満員御礼。すごい人気ですね。

5月は「絵本太功記」の通し狂言、とても楽しみにしていました。しかも今回は席が4列目の一番右端、床に一番近いところということもあって迫力のある舞台でした。

「太閤記」というと秀吉について書かれたものですが、こちらは「太功記」と「功」の字が違っています。秀吉をある程度称えつつも、どちらかというと悪役でとらえられがちな明智光秀にスポットを当てて脚色された時代物の浄瑠璃の大作。いわゆる「三日天下」を六月一日から光秀が死ぬ十三日までの十四段構成(!)という大掛かりのもので、もともとの文楽ばかりでなく、歌舞伎でも良く演じられ、メジャーな狂言の一つです。特に六月十日の十段目「尼ヶ崎の段」は悲劇的な内容と豪快な大夫の語り、人形の動きがあって、上演されることが多い演目です。

 今回のチラシ

江戸時代、幕府からの統制の関係で人物名がそのまま使うことが許されなかったようで、微妙に登場人物の名前が変わっています。主人公である明智光秀は「武智光秀」、織田信長は「尾田春長」、羽柴秀吉が「真柴久吉」、加藤清正が「加藤正清」、小早川隆景が「小梅川隆景」、毛利氏が「郡氏」というように、語感もそのままにとても上手く名づけているのにびっくりさせられます。

第一部は大序から妙心寺の段まで。長丁場でした。主君である春長の傍若無人な振舞に、主君への忠義との板ばさみになり苦しむ光秀。信念のもと、民のため、本能寺で主君を討ったものの、主君殺しの汚名を世間から着せられたことや、それを許さぬ母や妻から理解されないことの苦しみに一度は自ら死を覚悟したものの、民のため臣下のために久吉との対決を決意する、というところまでが今回の内容です。

 今回のスケジュール。結構長いです、、、

大夫では二条城配膳の段の光秀役の松香大夫さん、妙心寺の綱大夫さんが素晴らしかったです。松香大夫さんは光秀のスケールの大きさを印象付けるような力強さを、綱大夫さんは光秀の心のゆれ、動きを上手に語られていました。

三味線はやはり清治さんです。今回も鋭い撥捌きが冴え渡っていました。途中弦の調子がよくなかったのか、一度はずして直す場面もありましたが、落ち着いてリカバリーされていたのはさすがです。どうでもよいことなのですが、今回席が近いこともあり、清治さんと何度も眼が合ってしまって非常に照れてしまいました、、、

人形は、光秀役の勘十郎さんはもちろん、母さつき役の文雀さん、それからなんといっても操(みさお)役の簑助さんです。勘十郎さんは光秀の苦しみや悲しみをぐっとこらえる様子を見事に表現されていたと思います。もちろん大きな遣い方も印象に残っているのですが、それ以上に腹芸というか動かない箇所での表現がとても印象に残りました。前回の襲名披露も含め、完全に光秀遣いとしての地位を固められた、という印象です。簑助さんはしばらく娘の役が続いていましたが、老女形での役もさすが。すっとうつむいて座っているだけでも本当に美しいのです。操の武士の妻としての品格が内面から滲み出ています。これはもう遣い方、という次元ではないですね。尼ヶ崎でのクドキ、とても楽しみです。

今回は、あくまで次回の尼ヶ崎でのクライマックスに向けての前段部分、といった感じです(とはいってもものすごいボリュームなのですが、、、)。今週末も楽しみにしています。

 

(おまけ)

舞台がはねた後、天気が良かったので、銀座界隈までてくてくと歩いていきました。雨上がりでとてもさわやかでした。またお堀の緑がとてもきれいでした。

今頃が一年で一番好きな季節です。午前中から屋外でゆっくりとシャンパーニュや白ワインが飲みたくなる(!)、そんな季節ですよね。

 


第158回文楽公演 第二部 平成19年2月 国立劇場 [文楽]

 文楽公演、2月は3部構成なので、3週連続で国立劇場に足を運んでいます。今週はその最後、第二部です。

 公演も今日で千秋楽。今日は満員御礼でした。

第二部の演目は「摂州合邦辻」から「万代池の段」と「合邦庵室の段」です。17年7月の大阪公演とまったく同じ演目ということで、半分以上がその時と同じ役割でした。

あらすじとしては、河内国高安家のお家騒動にかかる話。高安家の嫡子俊徳丸への継母(玉手御前)の邪恋、それを許せない玉手の実の父親合邦が玉手を刺してしまう。ただそれは玉手がお家騒動を収めるために打った芝居だった、、、という悲しいお話です。

  今回のパンフは玉手と合邦が表紙。

 今回の席は6列28番。今月は3公演とも床にとても近い席を取っているのですが、今日は太夫さんの正面でした。人形が若干遠くなりますが、浄瑠璃を聞くには特等席です。綱大夫さん、住大夫さんの語りを正面に聴きながらの舞台は圧巻です。

まずは万代池の段、太夫では英大夫さんの合邦が印象に残っています。合邦がお布施を募る場面、とてもテンポ良く楽しめました。人形の文吾さん、お痩せになっていましたが、この場面は小気味良く、最後の次郎丸を池に放り込む場面はとても豪快に遣われていらっしゃいました。これからもお元気に舞台に立って欲しいと思います。

続いて合邦庵室の段、人形は文雀さん、太夫は綱大夫さん、住大夫さん、重鎮の方々がやはり素晴らしかったです。

文雀さんの玉手は、恋心をかきくどく場面の優美なこと!!ネムリの老女形の頭だったのですが、さりげなくまばたきをしたり目を閉じたりするところや、首の傾げ方まで本当に美しいです。また俊徳丸に恋焦がれ、暴走する場面のキレ具合、浅香姫を足蹴にしたり平手打ちを食らわせる場面(蹴りを入れる場面は以前の大阪の時のほうが激しかったような気がしますが)、合邦に刺された後に真相を打ち明ける愁嘆場など場面毎に見事に遣わられていらっしゃいました。

綱大夫さんで感動したのが、玉手が尼になれと言われた場面。言われて玉手が逆に、「折角艶よう梳き込んだこの髪が、どうむごたらしう剃られるもの。これからは色町風随分派手に身を持って、俊徳様に遭うたらば、あっちからも惚れて貰う気」と言い返すところ、最後の「気」という言葉。邪恋に狂って開き直っている憎たらしさを見事に表現されていました。背筋がぞくぞくとしました。

住大夫さんはものすごく気合が入っているようにお見受けしました。合邦の悲痛な叫び「これが坊主のあらうことかい、(繰り返し)」の場面は本当に素晴らしかったです。席のせいもあったのですが、あまりの迫力に住大夫さんのほうに釘付けになってしまいました。半分くらいは床の方を見ていたかもしれません。

というわけで最後までものすごい緊張感で、先週に引き続き大満足の舞台でした。

2月公演も終わり、東京公演は次は5月、なんと絵本太功記の通し狂言です!前回は勘十郎さんの襲名狂言でしたが、今回も光秀は勘十郎さんなのでしょうか。玉女さんでも是非見てみたいですし、配役含め今から楽しみです。

と、書いていますが、今日は教育テレビで久々の文楽中継。テレビで流れている「岡崎」が気になって仕方ありません。切場に入って綱大夫さんが出てきました(今日聴いたばかりなのですが)。もう「ながら」には耐えられませんので、この辺りで失礼します。(笑)

最後に、おかげさまでこのブログが週末で20,000Hitになりました。本格的に書き始めて5ヶ月弱。今では一日200Hit前後のペースが続いており嬉しい限りです。見ていただいている方にお礼を申し上げますとともに、好き勝手なテーマで書いているだけのブログですが、引き続きよろしくお願いいたします。m(_ _)m

 


第158回文楽公演 第一部 平成19年2月 国立劇場 [文楽]

先週に引き続いての文楽、今回は第一部の「奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)」に行ってきました。

東京マラソンの影響もあって、着いたのが開演ぎりぎりになってしまい、開演前の三番叟を観ることができませんでした。

今回の演目は「奥州安達原」の三段目から、「朱雀堤の段」「環の宮明御殿の段」です。特に後者のうち「袖萩祭文」と呼ばれる袖萩と親とのやりとりの愁嘆場が見所です。

今回の話は本当に複雑で分りづらいです。これまで観てきた演目の中でもダントツに話が難しかったかも。前日に行った親からあらかじめ聞いていたので、なんとか理解できましたが、いきなり行ってすっと筋書きが入ってくるのは難しいと思います。

あらすじとしては、安倍頼時の敵討ちを巡る八幡太郎義家と安倍貞任・宗任との話、とある男性(これが貞任なのです)と駆け落ちし今は物貰いに身をやつしている袖萩と親(平傔仗・浜夕夫妻)との再会の話、環の宮失踪を巡って侍従である傔仗が切腹に追い込まれる話、が複雑に絡み合って話は展開していきます。傔仗と袖萩が悲しい最期を迎えるとともに、義家と貞任・宗任が戦場での再会を約して去っていく勇壮な場面で段切れとなります。

 今回の床本。今日はあまり開かなかったです・

全般を通じて、紋寿さんの遣う袖萩がとても良かったと思います。過去の暗い影を引きずった雰囲気や、「袖萩祭文」で歌に託したの悲痛な心境が痛いほど伝わってきました。また老女形の頭(かしら)がきりりとしてとてもきれいな頭でした。物乞いに身をやつしても武家の娘としての気品というか、凛とした雰囲気が感じられました。

個々の段では、「朱雀堤の段」の呂勢大夫さんの伸びやかな声、「環の宮明御殿」の中の新大夫さん、声がしっかり通っていたのが良かったと思います。新大夫さんは、切場でお父さんの十九大夫さんが語られるのを白湯汲みで真剣なまなざしで見ていらっしゃったのもとても印象的でした。次の部分では清治さん。見せ場となるような場面では無かったものの、相変わらずの鋭い撥捌きはもちろん、オクリの哀愁漂う音色は秀逸でした。

そして切場の十九大夫さん、富助さんはやはり最高でした。十九大夫さんは、どちらかというと同じ時代物でも豪快な語りのイメージが強いのですが、今回の「袖萩祭文」では魅力的な声色はそのままに、表に出すことが許されない親子の強い情愛、また袖萩の悲痛な叫びを見事に表現されていらっしゃったと思います。浜夕が袖に下がるこの場面最後のところでは泣かずにはいられませんでした。

その後の奥は、咲大夫さん、燕三さん、勘十郎さん、玉女さんによって、段切れまで息をつかせぬ熱演が続きました。浜夕の和生さんも含めて、次代の文楽を背負っていかれる方々が勢ぞろいしての力強い段切れを拝見していて、玉男さんの訃報以降続いていた寂しかった気分が吹き飛ばしされたような、そんな気持ちがしました。

来週は第二部の「摂州合邦辻」です。以前大阪で拝見した時の文雀さんの玉手、文吾さんの合邦道心がとても素晴らしかったことが思い出されます。文吾さんも1月公演から復帰されましたし(若干やせられていたのが気になりましたが)、楽しみにしたいと思います。

 

(おまけ)

今日の観劇弁当は、弁松総本店のお弁当にしました。お赤飯のごはんが美味しくて、とても好きなお弁当です。今日は甘いものに備えて少し少なめにしました。

 

 


第158回文楽公演 第三部 平成19年2月 国立劇場 [文楽]

昨日から始まった文楽2月公演、今日は第三部に行ってきました。

相変わらずの人気ですが、今日は満員御礼ではありませんでした。劇場内を見渡した限りでは、ほとんど埋まっていましたが、、、、

今日の席は7列30番と床に近いところを選んだつもりだったのですが、どちらかというと正面の方まで床がある感じで少し舞台に向かって体を傾けていなければならなかったのでちょっと辛かったです。もちろん語りや三味線はとても良く聞こえましたし、床は良く見えましたけれど。大阪東京ですと大分席の押さえ方も違うのかも知れませんね。国立劇場ですと中央ブロック右側の端で7、8列目あたりが良いような気がします。

  2月公演のタイムスケジュールです。

今回は時代物の大作、「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」の四段目の後半、道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)、鱶七上使の段、姫戻りの段、金殿の段、入鹿誅伐の段です。

入鹿誅伐の段以外は、昨年1月の大阪公演で全く同じ演目が公演されています。この時は、求馬を玉男さんが遣われる予定だったことから初日に駆けつけたのですが、残念ながら休演だったのでした。わずか1年前のことですが、まだこの時は玉男さんを再び観ることができると信じていたんですよね、、、、思い出して少ししんみりとしてしまいました。

内容としては、藤原鎌足の息子淡海が求馬として身を隠している時に恋仲になった酒屋の娘お三輪と蘇我入鹿の妹橘姫との三角関係に端を発し、求馬を追いかけてきたお三輪が入鹿誅伐の目的の為に殺されてしまいます。その結果入鹿を最終的に討つことが出来ました、というお話です。なんでもお三輪の生血を笛にかけて音を奏でると入鹿の妖力が弱まるとか、、、文楽らしい強引な筋書きですね(笑)。大化の改新に関わる歴史上の話を縦筋に、求馬をめぐるお三輪、橘姫の気持ちの動きを横筋に話は展開していきます。

今日は(も?)、簑助さんがとても素晴らしかったです!前回同様、お三輪を可愛らしく魅力一杯に遣っていらっしゃいました。最初の道行は出のところから終わりまで簑助さん(というかお三輪)に釘付けでした。例えばお三輪が橘姫に絡んで「イーっ」と何回かする場面があります。人形の頭(かしら)は当然顔が動かないのですが、簑助さんが遣うお三輪は本当に「イーっ」としているような表情を見せるのです。体全体、肩や首の技術的な遣い方なのか、気持ちの入り方なのか、、、その辺りは良く分らないのですが、簑助さんの遣う人形からはそういった表情がとても良く伝わってきます。道行ならではの場面、求馬、橘姫との3人で踊るところなどは、一人だけ雰囲気が違って見えたほどでした。何かオーラのようなものが出ている、そんな感じがします。

鱶七上使の段では、伊達大夫さんの語りがとても良かったです。鱶七のすっとぼけた雰囲気を面白おかしく語っていらっしゃいました。また、入鹿が大げさに笑う場所、「ムームー、ハーハー(繰り返し)」という浄瑠璃独特の笑い方なども大げさな感じが良く出ていてとてもおかしく、会場からも笑い声があがっていました。

切場の金殿では、嶋大夫さんが聴かせてくれました。最初の豆腐の御用人とお三輪のチャリ場はとても可笑しく語られていらっしゃいましたし、女中に苛め抜かれたお三輪が放り出され、逆上した直後、鱶七に刺されてしまうというクライマックスの場面は息も詰まるような緊迫感を見事に表現されていらっしゃったと思います。圧倒的な声量、表現力、さすがは切場語りの太夫さんです。

ここしばらくクラシックやオペラにはまっていましたが、やはり文楽も負けていません。満喫しました。2月は例年3部構成で、1部ずつが短めなので、あっという間ですね。来週以降、一部、二部と行きますが今からとても楽しみにしています。

 


第105回文楽公演 第一部 平成19年1月 国立文楽劇場 [文楽]

さて、文楽公演の2日目です。第一部を観に行きました。

  公演パンフ・床本

この日の出し物は、「花競四季寿」、「御所桜堀川夜討」、「壷坂観音霊験記」と、こちらも非常に盛りだくさんの内容でした。席も床・舞台とも非常に近く、とても迫力のある舞台を堪能できました。

まず「花競四季寿」。新春にふさわしい慶事物、四季折々の姿を現した舞踊曲です。春を迎えた京の町に繁栄を祝う「万才」、少し滑稽味のある2人による掛け合いは「おめでたい」幕開きです。
続いて、夏の丹後の浜辺にやるせない女の心情を吐露する「海女」。海辺で主人公が嘆いていると、なぜか蛸が出てきて聞き役(?)になってくれます。蛸の素振りがまた微笑ましいのです。
次の「関寺小町」は雰囲気も変わって100歳(!)を迎えた小野小町が庵にて嘆く様、秋の寂しげな雰囲気を見事に表現しています。
そして最後の「鷺娘」。美しい鷺の精が雪景色をバックに美しい舞を披露します。
特に最後の「鷺娘」は素晴らしかったです。テレビで見たことはあったのですが、実際に見るとより人形の美しさがより感じられました。勘十郎さんがとても優雅に遣っていらっしゃって、しばしうっとり。人形ならではの「引抜き」で春らしい桜色の着物に早代わりする場面もあり、とても華やかな雰囲気でした。正月のおめでたい雰囲気にぴったりの演目です。

続いての「御所桜堀川夜討」、義経の正妻、卿の君の身代わりを頼まれた腰元は実は弁慶の実の娘。弁慶が主君への忠義から自ら我が娘を刺し殺してしまう、という悲しいお話です。
伊達大夫さんの語り、清治さんの三味線ともに素晴らしかったです。娘を殺された母親の嘆き、我が娘を殺さざるを得なかった弁慶の慟哭を伊達大夫さんは見事に表現しています。
また、清治さんの鋭く力強い撥さばきも、登場人物の心情をしっかりと伝えてくれました。太夫の語りと相まってとても印象深い舞台でした。

最後は今回一番楽しみにしていた「壷坂観音霊験記」、いよいよ十九大夫さんの登場です。
幼い頃視力を失った沢市とそれを献身的に支えている女房お里の物語です。沢市が自らの不遇と妻への負い目から身投げをし、お里もその後を追って身投げをしますが、これまでのお里の信仰を見ていた観音様が2人を生き返させ、かつ沢市の眼も見えるようになる、という非現実的ではあるものの非常に感動的な話です。
こちらも住大夫さん、十九大夫さんの太夫お二人がとても素晴らしかったです。お里の「エエ、そりゃ胴欲な、沢市っつあん~」のクドキ、また沢市が身投げしたのが分り「エエ、こちの人聞こえませぬ~」とかきくどく場面、それぞれの太夫さんがものすごい迫力で語ってくれました。それにしても十九大夫さんのバリトン張りの低い声には本当にしびれてしまいます。(笑)
また、文雀さんのお里、久方ぶりに復帰された文吾さんの沢市の人形ぶりもとても良かったです。とても見ごたえがありました。
これまたおめでたい「万才」で幕切れとなり、最後までお正月にふさわしい華やかな雰囲気で終わり、大満足の舞台でした!


2日間共、演目も舞台も素晴らしく、今年一年のスタートにふさわしい舞台だったと思います。大阪まで行って本当に良かったです!!
来月は東京、こちらも魅力的な演目が並んでおり、今からとても楽しみです。

 


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